要約
- 燃油サーチャージ急騰と訪韓外国人2,000万人時代で、宿泊需要が再び押し寄せる。風船が膨らむときに固定費を増やした宿が、破裂時に最も大きく傷つく。
- 原則は5つ。固定費は変動費に、投資は風船が破裂した後を基準に、チャネルは分散、客単価より稼働率、そして再訪客。
- 客単価を30万ウォンから22万ウォンに下げて稼働率が40%から70%に上がれば、RevPARは28%高まる。人がやらなくてもいい仕事はシステムに任せ、オーナー様はお客様のために時間を使おう。
1編で風船効果の公式を整理した。
外部ショック → 需要移動 → 一棟貸し・ペンション上昇 → 低価格代替まで恩恵 → 外部資本参入 → 供給激増 → 需要正常化 → 価格崩壊
この公式で必ず現れる段階が供給の急増だった。そしてここで最も大きな被害を受けたのは、需要上昇期に固定費を増やした個人宿泊業オーナーたちだった。
今、風船が再び押されている。燃油サーチャージは4月の18段階から5月の最高段階33段階まで上がり[1]、訪韓外国人2,000万人時代を前にソウルのホテルは供給が足りない。需要が再び押し寄せるだろうし、その間にチャンスがある。そのチャンスをうまく使うには、今、宿の運営構造から変えなければならない。
深夜2時、あるオーナーがスマホの通知で目を覚ます。ヤノルジャ経由の予約と別のOTA経由の予約がダブルブッキングになった。片方のお客様に謝罪の電話を入れる。朝は、昨日出した広告が掲載終了までにどれだけクリックされたかをチェックする。隣の宿が価格を下げたので一緒に下げた。英語で届いたメッセージには翻訳ツールを使って返信する。
この一日の半分は、オーナー様が必ず直接やらなければならない仕事ではなかった。需要が増えれば、この一日はさらに重くなるだけだ。風船が膨らむときに稼ぎ、破裂しても耐えられる構造が今必要だ。18年間現場で見て学んだ5つの原則を整理した。
原則1. 固定費は変動費に
風船がしぼむとき、宿は固定費から揺れる。ホテルアンドレストランの分析によると、2024年の韓国のホテル全体で、人件費は総売上の29%に達し、5つ星は36%だ[2]。ここに賃貸料、借入利息、修繕維持費が加わる。売上が半減してもこれらの費用はそのまま自分の口座から出ていく。
| 区分 | 固定費 | 変動費 |
|---|---|---|
| 例 | 正社員の人件費、賃貸料、借入利息、修繕維持費 | 季節雇用、パートタイム、清掃専門業者 |
| 売上が減れば | そのまま出る | 共に減る |
需要が溢れるときは両者の差がよく感じられない。売上が十分だから。差が開くのは風船がしぼむときだ。
人員を無条件に減らせという話ではない。繁忙期に追加人員が必要なら、季節雇用とパートタイム、清掃専門業者を最大限活用するのが良い。正社員は中核人材だけを維持し、風船がしぼんでも耐えられる水準に最小化する。
技術で代替できる業務も多い。オンライン予約管理、顧客管理、セルフチェックイン、自動メッセージ送信のように、人がやらなくてもいい仕事に人を使えば固定費が積まれる。こんな仕事で節約したエネルギーは、お客様の再訪と口コミを生むホスピタリティに使える。
今、需要が高く予約が増えるときに、むやみに固定費を増やすより、技術と外部サービスを最大限活用して今の需要に耐えられる変動費構造を作らなければならない。逆説的だが、需要がないときはこんな悩みも贅沢だ。だから今がチャンスだ。
原則2. 投資は風船が破裂した後を基準に
2020〜2021年、風船が最も大きく膨らんでいたときに投資決定を下したオーナーたちがいた。一棟貸し棟の増築、プールヴィラ新築、大規模リノベーションだった。当時の客室単価と稼働率を基準に投資回収期間を3年と見込んだ。風船が破裂すると稼働率が半分に落ち、投資回収期間は3年ではなく10年になった。その10年を耐えるキャッシュフローがなかった。
投資回収計算は、今の売上ではなく風船が破裂した後の売上でしなければならない。今、週末稼働率が95%で客単価(ADR)が30万ウォンでも、その数値で投資を計算してはいけない。対外変数で増えた予約は永遠ではない。「稼働率60%、客単価20万ウォンでも耐えられるか?」 その質問に「はい」と答えられて初めて投資する。
建設業界には「好況に着工すれば不況に竣工する」という言葉がある。宿泊業も変わらない。今着工したプールヴィラは2〜3年後に完工し、そのとき風船がどこにあるかは誰も分からない。増築が必要なら「風船が破裂した後でも回収できる投資か?」をまず問うことをお勧めする。「はい」という答えがすぐ出ないなら、一歩引いてもう少し慎重に考える必要がある。
原則3. チャネルは分散
風船が膨らんでいるときは、1〜2チャネルだけ登録しておいても予約が満杯になる。特定OTA一つに載せておけば管理も楽で、そのチャネルのプロモーションのおかげで予約がよく入る。稼ぐお金が多いので、好機を逃すまいと数百万ウォンの広告も打ってみる。予約がさらに増えるようだ。
しかし風船がしぼめば、そのチャネルに寄りかかった分だけ危険になる。OTA一つの広告枠は限られており、数多くの宿の中で上位に表示されてお客様に選ばれる方法は広告費をさらに払うことだけだ。隣の宿のオーナーが広告費をさらに使えば、うちも負けじと広告費を増やす。ゼロサムゲームだ。
一つのOTAに大きく寄りかかってきた宿ほど、予約が減れば不安な心で上位露出にさらにしがみつくようになる。風船が盛んに膨らんでいたときより広告費をさらに使うこともある。売上は減ったのに費用をむしろ増やすわけだ。売上の80%以上を一つのチャネルに依存すれば、そのチャネルの政策変更、アルゴリズム変更、手数料引き上げに手も足も出ない。
風船が破裂した後にチャネルを増やそうとすれば、すでに遅い。他のチャネルのレビューと評判、露出順位は一朝一夕に作られない。

今できることは3つだ。
- 予約がよく入る今、チャネルを増やしてレビューと評判を事前に積んでおく。
- 売上の80%以上が一つのチャネルから出ないように分ける。
- AIが読める自社ホームページを備える。
AIに見つけてもらえない宿は存在しないのと同じ
チャネル分散を話すとき、AI時代という変化も一緒に指摘しなければならない。Gartnerは、2026年までに従来型検索エンジンの検索量が25%減ると予測している[3]。Phocuswrightの2026年3月レポートでは、アメリカ旅行者の56%が過去1年間に一度以上旅行にAIを使った[4]。人々は「江原道で2泊、いい宿を教えて」と、Googleの検索窓ではなくAIのチャット欄に打ち込む。
ところがSkiftが2026年4月に紹介した分析を見ると、AIにハイアットホテルを尋ねたときに最も多く引用された出所は、ハイアット公式サイト(10.3%)ではなく金融情報サイトNerdWallet(13.6%)だった[5]。グローバルチェーンでさえAI回答では自分のサイトより第三者サイトがさらに多く引用される。ホテルサイトが客室を売ることだけに集中し、お客様の質問に答える情報が不足していることが大きい。
だから今から自社チャネルはAIが読めるホームページでなければならない。英語サポート、海外カード決済、Schema構造化、AEO(Answer Engine Optimization)対応まで、オーナー様が直接チェックするには多すぎる。次世代サイトコントローラー(チャネルマネージャー)には、これらすべてが標準で備わっているべきだ。AIが宿を選ぶ基準はAIに自分の宿を推薦させる方法に別途整理した。
原則4. 客単価より稼働率
宿泊業で最も重要な指標はRevPAR(Revenue per Available Room)だ。売れる部屋1室あたり実際にいくら稼いだかを見る指標だ。ロビンカンパニーの「韓国宿泊市場2024」によると、2024年の韓国の宿泊市場全体の平均は客単価11.2万ウォン、稼働率66.4%、RevPAR 7.4万ウォンだ[6]。
風船がしぼむとき、多くの事業者が客単価から守ろうとする。「うちは30万ウォンの宿だ。20万ウォンでなんて売れない」。たとえば客単価30万ウォンで稼働率が40%ならRevPARは12万ウォンだ。価格を22万ウォンに下げて稼働率が70%に上がればRevPARは15.4万ウォンになる。価格を27%下げたのにRevPARは28%高い。
稼働率が高ければ飲食・体験・付帯施設のような付帯収益がついてきて、運営効率も上がり、レビューもさらに多く積まれる。空室は何も生まない。
「自分の宿の価値を守らなければ」というプライドは理解する。しかし風船がしぼんだ市場で価格に固執していては、資金繰りが行き詰まる。平日と週末、閑散期と繁忙期、予約時点によって価格を柔軟に調整しなければならない。手動でやれば限界があるが、次世代サイトコントローラーとPMSがあればこの調整をデータに応じて自動でできる。
原則5. 一度来たお客様がまた来るように
最後の原則が最も重要だ。風船効果に振り回される宿とそうでない宿は、再訪客の比重で分かれる。
Hospitality Netに掲載された業界コンサルタント、マックス・スタルコフの分析によると、独立ホテルの平均再訪客比率は10〜15%に過ぎないが、大型チェーンホテルは60%に達する[7]。ハーバード・ビジネス・レビューによると、新規顧客を獲得する費用は既存顧客を守る費用の5〜25倍で、同じ記事が引用したベイン・アンド・カンパニーのフレデリック・ライクヘルドの研究では、顧客維持率が5%上がれば利益が25〜95%増えた[8]。
再訪客は風船の動きに左右されにくい。OTAアルゴリズムが変わっても、競合が値引きを連発しても、「次もここに行こう」という記憶があるお客様は戻ってくる。
オーナー様が最も多く尋ねる質問がある。「広告費をどれだけ使えばいいですか?」 私は逆に尋ねる。「広告費を一銭も使わずに来てくれるお客様は、今何パーセントですか?」 広告費を最も確実に減らすには、広告なしでも来てくれるお客様、つまりリピーターの比率を増やさなければならない。
リピートは豪華な施設から生まれるものではない。清潔な部屋、真心のこもった応対、小さくても記憶に残る体験から生まれる。チェックイン時にお名前でお呼びし、前回お気に召した部屋を覚えておき、チェックアウト後「次もまたお越しください」という一行のメッセージを送ることだ。技術はオーナー様の真心を実践できるよう助ける。PMSに顧客履歴を残し、チェックアウト後に感謝メッセージを自動で送り、再訪されたお客様に小さな特典をお渡ししてみよう。
顧客はどのチャネルでいくらで予約したかより、宿で受けた経験とホスピタリティを覚える。その記憶こそが宿の資産であり、このような記憶が積まれればOTA手数料を払わずに予約が入る構造が作られ、風船が膨らんでもしぼんでも揺るがない売上基盤になる。
風船は再び膨らんでいる
18年間この業界にいて、風船が膨らんで破裂することを何度も見た。2003年イラク戦争時の海外旅行急減、2008年金融危機、2015年MERS、2020年コロナ。外部ショックの名前は違ったがパターンは同じだった。風船が膨らむときに固定費を増やした宿泊業オーナーの方々が、破裂するときに最も大きく傷ついた。
ONDAを10年前に創業した動機も結局そこにあった。オーナー様がチャネル管理、価格調整、外国人対応、広告費運営に疲れて、肝心のお客様に集中できない現実を見て、もどかしく思っていた。だから次世代サイトコントローラーと英語ホームページ、海外決済、AIによる料金提案を一つにまとめた。オーナー様が本来いちばん大切にすべき接客やベッドメイク、温かいあいさつに時間を使えるように。
5つの原則を一行にまとめれば、人がやらなくてもいい仕事はシステムに任せ、オーナー様は本質であるホスピタリティに集中してほしいということだ。システムだけあってホスピタリティがない宿は冷たい宿になり、ホスピタリティだけあってシステムがない宿は疲れた宿になる。
今、風船が再び膨らんでいる。今回もチャンスが来るだろう。そのチャンスはしっかりつかみつつも、今増やそうとする費用が風船が破裂した後でも耐えられる費用かどうかをまず考えていただきたい。システムに任せる仕事はシステムに任せ、そうやって確保した時間はお客様のために使ってほしい。お客様が長く覚えているのは、オーナー様がお客様のために使った時間だ。
「宿泊市場の風船効果」シリーズ
- 1編: 燃油サーチャージ暴騰、宿に起こること
- 2編: 風船が破裂しても生き残る宿の5原則(この記事)
参考資料
- スマートトゥデイ、「国際線燃油サーチャージ33段階歴代最高…航空会社の翼が折れるか」(2026.4.20)· smarttoday.co.kr
- ホテルアンドレストラン、「[Feature] 2026年客室料、どこまで上がるか? 価格変動要因と戦略的対応」(2026.2.19)· hotelrestaurant.co.kr
- Gartner、「Gartner Predicts Search Engine Volume Will Drop 25% by 2026, Due to AI Chatbots and Other Virtual Agents」(2024.2.19)· gartner.com
- Phocuswright、「The AI Surge: Travel's Fastest Behavioral Shift in a Decade」(2026.3)· phocuswright.com
- Skift、「Hotels and Airlines vs. NerdWallet and Reddit: Who's Winning in AI Visibility」(2026.4.17)· skift.com
- ロビンカンパニー、「韓国宿泊市場2024: 全国」(2025.4.15)· lobin.co
- Hospitality Net、「Why guest retention is the #1 priority for hoteliers in 2025?」(2025.1.7)· hospitalitynet.org
- Harvard Business Review、「The Value of Keeping the Right Customers」(2014.10.29)· hbr.org
よくある質問
- 需要が増えたときに従業員を増やしてはいけませんか?
- 繁忙期の人員は季節雇用・パートタイム・清掃専門業者といった変動費で補う方が安全です。正社員の人件費は売上が減っても同じように発生するため、風船がしぼんだときに真っ先に経営を揺さぶります。
- 増築やリノベーション投資はどんな基準で判断しますか?
- 今の稼働率と客単価ではなく、風船が破裂した後の数値で回収期間を計算します。稼働率60%、客単価20万ウォンでも耐えられるかと問われたときにすぐ「はい」と答えられなければ、一歩引くのが良いでしょう。
- 閑散期に価格を下げると損ではありませんか?
- 宿泊業は客単価より販売可能客室あたりの売上(RevPAR)が重要です。客単価30万ウォンで稼働率40%ならRevPARは12万ウォンですが、22万ウォンに下げて稼働率が70%になれば15.4万ウォンとなり、むしろ28%高くなります。


